- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/04/27
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (105件) を見る
『家守綺譚』も傑作だったけれど小説の完成度はこちらの方が高い気がした。物語は『家守綺譚』と時代が同じ。そしてリンクもしていたりするが、もちろん単独でも十分楽しめる。
村田という主人公による土耳古(トルコ)の滞在記である、なんて書くとなんの面白味もなさそうな話だけど、これがすごい。でもなにがすごいのかうまく表現できそうにないのがもどかしい。
読んでいると、たくさん引用してみたい文章がある。でもほんの一部分だけ引用してもこの素晴らしさは伝わらないんじゃないか、とも思う。淡々とした文章だけど物語の中で出会うと、ふっ、と目線が留まるような感覚にとらわれるのだ。
とても心地よい文章で面白いなあ、と思って読んでいたんだけど、ラストのある一言にはぐっとくるものをおさえることはできなかった。