陽気なピエロのコインロッカー

読んだ本を晒す棚 感想はTwitter:はらかず@kazu7honyomiで

桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』東京創元社<30>

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

桜庭一樹はミステリ界で評判になった『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を数ページで挫折して以来あまり食指が動かなかったのだけど、この作品はハードカバー二段組300ページの力作長編ということで挑戦してみた。
僕の印象は、傑作になりそこねた惜しい作品といった感じ。鳥取の旧家に生きる三代の女たちを描くその姿勢はとても好みなんだけど、この第三部はいただけなかった。いらなかった。この作品で三代の女たち描くならタツでしょう。読了後も一番印象に残ったのはタツだったし、瞳子の部は「ひとつの時代の終焉」である現代を描きたかったのだとしても作品のバランスが悪い気がした。
とけなしているようにみえるかもしれないけれど予想よりはとても良かった。力作なのは間違いない。