陽気なピエロのコインロッカー

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広瀬正『マイナス・ゼロ』集英社文庫<63>

マイナス・ゼロ (集英社文庫)

マイナス・ゼロ (集英社文庫)

傑作だ。
僕はSFが苦手だけど、昔にもどってしまうタイムトラベルものはけっこう好きだったりする。
とはいえこの度復刊された本書がそういう内容だというのは読むまで知らなかった。
昭和初期の風俗小説としても素晴らしいと思うが、なんといっても終盤のパラドックスは衝撃だった。9割は予想したのと大差なかったが残りの一割の発想は空前絶後。これを矛盾なく(という言い方も変だが)面白い小説に仕立てられるのは才能という一語に尽きる。