陽気なピエロのコインロッカー

読んだ本を晒す棚 感想はTwitter:はらかず@kazu7honyomiで

小林信彦『紳士同盟』扶桑社文庫<66>

紳士同盟 (扶桑社文庫 (こ13-1))

紳士同盟 (扶桑社文庫 (こ13-1))

なんだか最近は復刊された昔の本ばかり読んでいる気がする。懐古主義の気があるのかしらん。
さて、本書。小林信彦は初読み。国産コン・ゲーム小説の金字塔という触れ込みに惹かれる。初出が30年も前なのに物質的な面以外で全く古さを感じない。コン・ゲーム=詐欺にとって心理がいかに重要かを描いている点もあるけれど、それを30年前に書いていたというところに驚く。本当にすごい詐欺は最後の最後まで(もちろん被害にあった後までだ)被害者が自分が詐欺にあったことに気付かないこと。「初めに被害者ありき」という言葉は象徴的だ。