牧薩次『完全恋愛』マガジンハウス＜73＞

完全恋愛

ちょっと評判を聞いて読んでみたくなった本。あのベテランミステリ作家Ｔ・Ｍがあえて別名義で書き下ろしたミステリ。別名義とはいえ、本を読めばバレバレだし、隠すつもりもないようだ。
で、本書。

他者にその存在さえ知られない罪を
完全犯罪と呼ぶ
では
他者にその存在さえ知られない恋は
完全恋愛と呼ばれるべきか？

作中、かなり大掛かりなトリックもあるのだけれど、それはやや拍子抜け。それよりも一人の画家の一代記としてとしての方が興味深かった。ラストはちょっとは予想できたけれど、哀切感がただよう。