陽気なピエロのコインロッカー

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村上春樹『1Q84(BOOK1,BOOK2)』新潮社<25,26>

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

なんだかとてつもなく売れているらしい本書。発売前に内容を一切宣伝をしなかったのが宣伝になったとか。読む本についてはできるだけ内容をみたくない僕としてはありがたかったですが。
村上春樹は『海辺のカフカ』以来。その『カフカ』と、代表作のひとつである『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』と同じような構成で二つの物語が交互に進行していく。裏の仕事を持つクールな女性・青豆の章と小説家志望の塾講師・天吾の章だ。そこに文学賞の新人賞に応募されてきた「空気さなぎ」という奇妙な(しかしとても魅力的な)小説を機に、二つの章が絡み合ってくる。オウム事件を想起させる宗教が登場し、宗教とは、正義とは何かといった普遍的なテーマを正面から描いている小説といえるだろう。
前半は、村上春樹の到達点と思わせる雰囲気で興味深く読んだのだけれど、BOOK2の後半からラストについては僕にとっては消化不良だった。続編があるのではと言われているらしいが(たしかに、物語としては決着していないという印象もある)、このすぐ続きというのは考え難いなあ。
小説の好みでいえば、本書より『世界の終わり』や『ねじまき鳥』とかの方が好みでした。