陽気なピエロのコインロッカー

読んだ本を晒す棚 感想はTwitter:はらかず@kazu7honyomiで

『あきらめのよい相談者』剣持鷹士(創元推理文庫)

あきらめのよい相談者 (創元推理文庫)

あきらめのよい相談者 (創元推理文庫)

表題作は第1回創元推理短編賞(現ミステリーズ!新人賞)受賞作。
表題作のほか「規則正しいエレベーター」「詳しすぎる陳述書」「あきらめの悪い相談者」を収録。
どうも作者は現役の弁護士さんらしい。なるほど、弁護士ならではの興味深いエピソードも端々に窺えて楽しめた。しかも「謎」を解決するのは剣持弁護士(作者と同名の主人公である)ではなくて、その友人で司法試験受験生で、安楽椅子探偵もの、というところがまた面白い。中でも「詳しすぎる陳述書」はこちらの知的好奇心をくすぐって、なるほどなあと思わせる内容だった。
ただ、この受験生君の洞察力が鋭すぎないか、と思わなくもない。また、1995年の本なのでやや時代の流れを感じた。「あきらめの悪い相談者」なんかは、今だったらインターネットで一発だからな・・・。