陽気なピエロのコインロッカー

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西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』講談社<25>

どうで死ぬ身の一踊り

どうで死ぬ身の一踊り

これは凄えや。
私小説」というと僕の場合まっさきに車谷長吉を思い浮かべてしまうのだけど、この西村賢太車谷長吉に負けず劣らず「どうしようもない」男だ。
藤澤清造という昭和7年に公園で全裸で凍死し身元不明者として荼毘に伏された作家に魅せられまさに心身をまさに同化させてしまう西村賢太。その素行はほんとに常軌を逸している。そして常軌を逸している作品を読むのはとても面白い。たぶん、多かれ少なかれ意識無意識を問わず人間はこういう身勝手な性質を持っているのではないだろうか。身勝手を、その対象は何であれ「オタク」と読み替えてみるとわかりやすいかもしれない。
とまれ、西村賢太、要注目だ。