- 作者: 真保裕一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/04/17
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うーん、重い。
たとえば同じ日系人を扱った小説として最近文庫になった垣根涼介『ワイルド・ソウル』が燃え盛る炎のような熱い小説だとしたら、この『栄光なき凱旋』はマグマのような静かだけどふつふつと沸き立つような小説だった。
真保裕一が僕にとって特別な作家だということは何回か書いたけど、僕が真保裕一を読んでいた頃は単行本なんて買う余裕はなく、文庫になるのをひたすら待つ、という状態で、単行本を買うようになってからは、どうも真保裕一や当時よく読んでいた宮部みゆきとか佐藤賢一とかそこら辺の作家の本は文庫で読みたい気がして(というより本棚に並べたい)単行本の新刊だといまいち手が出ない、という気持ちあったりして、文庫になった頃には結局読むタイミングを逸してしまう、という状態だった。
でもやっぱり真保裕一の作品は読もう、と改めて思った作品だった。時に冗長だったりするけれど、エンターテインメントを超えたものがこの作品にはある。