陽気なピエロのコインロッカー

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伊坂幸太郎『砂漠』実業之日本社<45>

砂漠

砂漠

面白かったー!
心地よい青春小説の快作だった。
大学生活の始まりである春の章から夏の章、秋の章、冬の章ときて最後にまた春の章とくるわけだけど、章が進むにつれて時を経るにつれて面白くなってきた。この作品で特異なキャラといえば、西嶋。最初はその言動が鼻につく感じがしたんだけど段々と彼を受けいれていく自分に気付く。とはいえ小説の中の登場人物だから「いいキャラ」って言えるけど、実生活にこんな奴がいたらたぶんひいちゃうだろうなあ。なんてことを書いたら鳥井に「なんだよそれー」ぎゃはは、と笑われてしまうかもしれないけれど。
たぶん、この作品って今現在大学生活を送っている学生さんよりかつて学生だった読者の方が胸を熱くするんだろうな。なんでもそうかもしれないけど、過ぎてしまってからその時の何気ないことの大切さに気付くんだと思う。けっこうシリアスなことも書かれるけれど、幼稚で愚かな失敗や経験から何かを学ぶことによって大きな成長を遂げることができたりするんだよな。笑い話になるまでが本当に大変なのかもしれないけど。