陽気なピエロのコインロッカー

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犬飼六岐『筋違い半介』講談社<36>

筋違い半介

筋違い半介

「筋のとおった話は虫が好かねえ」
となかなかに強烈なキャラをしている半介が意外な活躍をする表題作を収める短編集。

こういうのってタイミングだなってものすごく感じた。
最近時代小説をほとんど読んでなかったので久々に手を取った時代小説だったんだけど、これが当たりだった。
てっきりこの「筋違い半介」を主人公にした連作短編集かと思ったらそれぞれ独立した短編集だった。

表題作や他の短編もまあまあ良かったんだけど、一番印象に残ったのは「口増やし」。これは時代小説の傑作短編。
うまい褒め言葉になるかどうかが微妙だけど、三谷幸喜が小劇場で時代劇の脚本をしたらこんな作品になるんじゃないかと思った。もう、役者の深刻なんだけどどこかコミカルなドタバタぶりが目に浮ぶよう。