陽気なピエロのコインロッカー

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2018年8月に読んだ本

<29>デイヴィッド・グラン著、倉田真木訳『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』早川書房 ★4.5
なんというノンフィクションだろう。20世紀初頭に起こった20人を超える先住民が殺された事件の真相に迫るだけでなく、アメリカ社会の暗部をあぶり出す衝撃のノンフィクションだ。事件の解決よりも地域社会の恐ろしさに身震いする。

花殺し月の殺人――インディアン連続怪死事件とFBIの誕生

花殺し月の殺人――インディアン連続怪死事件とFBIの誕生


<28>須賀しのぶ『夏空白花』ポプラ社 ★4
敗戦直後に高校野球の大会開催に奔走した史実を基にした骨太物語。テーマも面白さもドストライクなのだが、好きすぎるゆえに、もっと深さを求めてしまう。

夏空白花

夏空白花


<27>宿野かほる『はるか』新潮社 ★3.5
『ルビンの壺が割れた』の覆面作家による2作目。AIとの恋愛モノでありがちなストーリーではあるがリーダビリティが高くのめりこめる。

はるか

はるか


<26>黒澤いづみ『人間に向いてない』講談社 ★4
第57回メフィスト賞受賞作。ある日突然、人間を異形の姿へ変貌させる「異形性変異症候群」。なんていう恐ろしい病を考え出すものだ。ただグロテスクなのではなく意外と社会派小説だったりした。

人間に向いてない

人間に向いてない


<25>新井見枝香『探しているものはそう遠くはないのかもしれない』秀和システム ★3
新井賞などで一方的に存じている書店員さんのエッセイ。リアルなのか虚構なのかわからないが笑えるエッセイだ。

探してるものはそう遠くはないのかもしれない

探してるものはそう遠くはないのかもしれない


<24>朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』新潮社 ★4
軽いテイストかと思いきや予想以上に、社会派でシリアスな展開に。働き方改革が叫ばれる昨今だが、なぜ過労死へと至ってしまうのかという心理が垣間見える。

わたし、定時で帰ります。

わたし、定時で帰ります。

2018年7月に読んだ本

<23>高橋弘希送り火文藝春秋 ★3
第159回芥川賞受賞作。文章は洗練されていて巧いと思ったけど終盤の描写は唐突に感じた。

送り火

送り火


<22>清水浩司『愛と勇気を分けてくれないか』小学館 ★4
これぞ青春!な物語。広島という地域ならではの話も随所に。熱さと切なさが沁みわたる。

愛と勇気を、分けてくれないか

愛と勇気を、分けてくれないか


<21>山田ルイ53世一発屋芸人列伝』新潮社 ★4
いわゆる一発屋芸人に一発屋芸人が当時のことやその後を取材した異色の本。テーマの面白いが著者の文才が冴えている。

一発屋芸人列伝

一発屋芸人列伝


<20>大岡昇平『事件』創元推理文庫 ★4.5
不朽の裁判小説。丹念な取材とコツコツと事実を積み重ねて思わぬ真実を引き出す様は見事。

事件 (創元推理文庫)

事件 (創元推理文庫)


<19>秋保水菓『コンビニなしでは生きられない』講談社ノベルス ★3
第56回メフィスト賞受賞作。読みやすさや親しみやすさはあるけどヘビィな結末だし、トリックも今一つだったかなぁ。

コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)

コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)

2018年6月に読んだ本

<18>木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚』講談社ダイガ ★4.5
第55回メフィスト賞受賞作。死んだ者が生きていたときの情報のみで犯人を推理するという斬新な短編集。読みやすく、かつ、なるほど感あるミステリで好印象。

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)


<17>今村翔吾『夜哭烏 羽州ぼろ鳶組』祥伝社文庫 ★3.5
羽州ぼろ鳶組第2弾。期待に違わず熱量ある物語。辛い場面もあるがますます続巻が楽しみ。

夜哭烏 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

夜哭烏 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

2018年5月に読んだ本

<16>セバスチャン・フィツェック/酒寄進一訳『乗客ナンバー23の消失』文藝春秋 ★3.5
衝撃の展開の連続は評判通りの面白さだったけど、訳との相性が合わなかったかも。謎も魅力的だし、社会的なテーマもあってもうちょっとのめりこんで読めたらより楽しめたかな。

乗客ナンバー23の消失

乗客ナンバー23の消失


<15>ピーター・スワンソン/務台夏子訳『そしてミランダを殺す』創元推理文庫 ★4
興味をそそられる怪しい物語の始まりから第一部の衝撃のラスト、そして予想のつかない展開から魅惑的な余韻を残すラストまで読ませる読ませる。リリーのクールぶりとラストが印象的。

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

2018年4月に読んだ本

<14>笹沢左保『流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選』創元推理文庫 ★4.5
10編収録の文字通り傑作選。渡世人の生き様や当時の風俗のみならず紋次郎のキャラクターはもちろん、ミステリとしても上質。


<13>今村翔吾『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』祥伝社文庫 ★4
当時の火消しに関する蘊蓄のみならず王道ともいえるストーリに熱さと勢いがトッピングされていて美味。

火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)


<12>一木けい『1ミリの後悔もない、はずがない』新潮社 ★4
いやー、新人とは思えない筆力。物語を紡ぐ力を感じる連作集だった。由井は忘れがたい人物。

1ミリの後悔もない、はずがない

1ミリの後悔もない、はずがない

2018年3月に読んだ本

<11>柚月裕子『盤上の向日葵』中央公論新社 ★4.5
いやー面白かった。読ませる読ませる。さすが柚月裕子。将棋の名駒をめぐる哀切の骨太の物語だが、終盤やや拙速だったかなと。

盤上の向日葵

盤上の向日葵


<10>日影丈吉『内部の真実』創元推理文庫 ★3.5
今読むと若干読みづらいのが難点だが、物語の構成には唸った。こういう作品が読めたことに感謝。


<9>望月拓海『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』講談社タイガ ★4
メフィスト賞らしかぬストーリーだが、明かされた秘密の「愛」の形には驚嘆。感動の恋愛ミステリという看板に偽りなし。

毎年、記憶を失う彼女の救いかた (講談社タイガ)

毎年、記憶を失う彼女の救いかた (講談社タイガ)


<8>櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』東京創元社 ★3.5
好みの作風で期待が大きすぎたのかやや拍子抜け。ただ、今後も追いかけていきたい作家さん。

サーチライトと誘蛾灯 (ミステリ・フロンティア)

サーチライトと誘蛾灯 (ミステリ・フロンティア)

2018年2月に読んだ本

<7>蘇部健一『小説X あなたをずっと、さがしてた』小学館 ★4
さすが蘇部健一(笑) いやー恐ろしい小説を読んだ。ラスト一行、やられました。



<6>花形みつる『Go Forward!櫻木学院高校ラグビー部の熱闘』ポプラ社 ★4
青春スポーツ小説の王道ストーリー。ラグビーがわからなくても全く問題なく楽しめる。ちと最後が尻すぼみな感がするのが残念。