陽気なピエロのコインロッカー

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第17回山本周五郎賞、第17回三島由紀夫賞が決定

山本賞は乙一横山秀夫梨木香歩古処誠二と興味深い作品が候補に挙がっていたので楽しみにしていたのですが、一番ノーマークだった熊谷達也『邂逅の森』に決定。『ウェンカムイの爪』ですばる新人賞を受賞しデビューして『漂泊の牙』で新田次郎賞をもらっている作家です。これを機に読んでみようかな。

三島賞本屋大賞2004にもノミネートされていた矢作俊彦『ららら科學の子』が受賞ですね。

そういえば、山本賞の選考委員が今年から変わっていたことに今になって気付きました。昨年は山田詠美花村萬月などがいたのでひょっとしたら乙一にも受賞のチャンスが、と思っていたのですが、今年の選考委員は浅田次郎北村薫小池真理子重松清篠田節子と5名。おお、歴代受賞者である重松清篠田節子がいるんですね。第1回受賞者の山田太一も前にやってたっけな。

先日、『文学賞メッタ斬り!』を読んで、一番面白かったのは、文学賞の選評にモノ申す!ってやつだったのだけど、この山本賞の選評は変わっていて選考委員の各人が後で原稿を書くのではなく選考会のテープかなにかを文章に起こした対談式になっているのです。「小説新潮」の7月号に掲載だったかな。だから選考時の様子なんかがリアルに伝わってきてとても面白い。最初に選考委員の一人一人が各作品に5点満点で点数をつけていって、総合点の高いものについて話し合うのだけど、必ずしもそこで最高得点をとった作品が受賞するわけじゃなかったりするのです。

もうだいぶ前だけど、野坂昭如が選考委員だったときなんて、自分が推す作品は「5点!」といって(ほとんどの人は最高得点である5点はつけない)他の作品は「0点!!」と言うのです。
他の選考委員の人が困るといったら(笑)
でも、文学賞の選考なんて、それこそ自分の好みに合った作品に授賞したいわけだから本来はそういうのが正しいのかなと思ったりしたけど。