- 作者: 陳舜臣
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/10
- メディア: 文庫
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中国歴史小説の大家として名高い著者の推理小説を集めたものだ。巻頭を飾る直木賞受賞作「青玉獅子香炉」は実に渋く、数奇な人生を描く佳作(ただ推理小説としては弱い印象はある)だし、「永臨侍郎橋」も楽しめる短編である。しかししかしやはりメインは表題作「炎に絵を」だ。ミステリ界では有名な作品らしいのだが、僕は全く知らず、普通こういうアンソロジーが編まれるときはタイトルは、直木賞受賞作というネームバリューをとって「青玉獅子香炉」とするのが一般的かなと思っていたのだけれど、この本はやっぱり「炎に絵を」が相応しい。
この中編は3分の2を読んだところで事件は解決したかに思える。そこからのドンデン返しに次ぐドンデン返し。そしてタイトルの意味も最後の最後にわかる(でも伏線はほんとに最初にあるのだ)。
このアンソロジーはあと2冊でていて乱歩賞受賞作もそちらに含まれているけれど今まで未読だったのを喜ばしいくらい楽しみだ。